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EDウィルス(Erectile Dysfunction Virus)

 ヒトのウィルス性ED(勃起不全)

 ヒトのウィルス性EDはEDウィルス(EDV)に感染してから60〜120日で発症する。典型的な症状は、名前の通りED(勃起不全)をはじめとして性的不感症、食欲不振、膀胱炎に類似した尿痛、抑鬱、不安神経症等である。EDVに感染しても発症しない(不顕性感染)も多いとされ、2002年にアメリカ・ロサンゼルス州で発表された潜在性不妊症候群(LIS)との関連もCDC疾病対策センター)によって研究されている。発症した時の致死率は全体として0.4〜0.9%であるが、感染後の精神的苦痛による自殺が後を絶たず一種の社会問題として重要視されている。若年齢層より成人が発症しやすい。
 ウィルス性EDの流行地域は、アメリカ、南アメリカの一部、ヨーロッパ中域など主に白人・コーカソイド系の人種の集中地域である。EDウィルスの感染経路はいわゆる粘膜感染で、粘膜同士交流で感染し、唾液や尿道通過液に含まれ、接吻や性交等(口腔粘膜含む)で個々伝播する。流行地域での流行は、唾液交換を行うキスや比較的に性的同時交流の多いとされる事が原因とされる。人種においての易感染も指摘されて入るが今後の研究を待たれるところである。一方、非流行地域は、韓国、台湾を含む一部のアジアや、東南アジア全域、ナイル川周辺を除く中東地域である。これらの地域にも散発的低頻度にウィルス性ED患者が見つかるが、ED発症以降の感染は極めて難しいので爆発的な拡大などは見られていない。

  わが国で感染したケースが2003年以降4例報告されている。

1. 非合法買春を行っていた2人が急性EDを発症した。売春行為を行っていたロシア人女性のEDV遺伝子と患者から分離されたEDV遺伝子の核酸配列が一致し、白黄色人種間感染が実証された。
2. アメリカ旅行中の2人がラスベガスのヌードバーにて急性劇症EDを発症し、一人が神経症によりその場で自殺。
3. ウィルス性急性ED患者10人中9人が1〜5週間前に同性者間性交を行っていた。この地方で街娼行為を行っていた男性の4 /28にEDV遺伝子が検出された。
4. 集団性行為を行ったとされる12人中8人がEDVに感染し、5人が発症した。


ウィルスの性状

 HEVはエンベロップを持たない中型(直径45-60nm)特殊形ウィルスで、約10.2kbのプラス3本鎖RNAゲノムを持つ。従来は遺伝子構造や粒子構造の類似性からROウイルス科に分類されていたが、ウィルス蛋白の相違やウィルスゲノム42群56’端にVPg蛋白が結合していないことなどから、別の科に属すべきとされ、2000年まで暫定的にED様ウイルス属(“Erectile Dysfunction-like viruses”)と呼ばれていたが、ごく最近、Erectile Dysfunction科Erectile Dysfunction属という単一ウィルス属に分類された(http://www.inchiki.rothamsted.ac.uk/Ictv/fs_uso.htm)。
EDVは粘膜感染し、HEVは培養細胞で増殖させることが困難で、ウイルス学的性状について不明な点が多い。ウイルスの検出はRT-PCR法によるウイルス遺伝子の検出で行う。